出典:原泰久(著)キングダム第724話
キングダムの中に登場する桓騎は秦国の六大将軍の一人でありながら中華にいる人間が最も恐れている人物でもあります。
桓騎が正式に秦軍の一員として戦場で活躍していた日々は決して長くありませんが、いままで犯していた悪行の数々や極端な戦い方で、彼の悪名は既に中華全土に伝わっています。
民衆にとって桓騎はまさに悪魔で、誰もが凶行を犯し続けていた桓騎を憎んでいますが、実は桓騎は特異な魅力を持つ男なのです。
キングダムの中において桓騎は非常に特別なキャラクターなので、今回は桓騎について考察してみたいと思います。
☆残酷で無慈悲な将軍
桓騎は秦国六大将軍の一人に昇格しましたが、野盗時代にあった習性が残っているままで、これからも変わる予定がありません。
戦乱の時代ですから人を殺すのは仕方ないことですが、桓騎のように人を虐殺するのが好きな将軍は他にいません。
キングダムにおいて桓騎のように人間としての道徳や国の法律を完全に無視するような将軍も他にいないのです。
桓騎はゼノウ一家のような物知らずの愚かな盗賊ではなく、桓騎は道徳や法律などは全部知っているのですが、勝ち続けるためにあえて人としての常識を捨てました。
人としての常識を捨てて戦っていた結果、桓騎はどんな戦でも圧倒的な力で勝ち続けていましたが、桓騎のことを死ぬほど恨んでいる人間はたくさんいます。
そして桓騎を将軍として任命している秦王嬴政も桓騎の凶行に耐えられなくて、桓騎の首を切り落とそうとしたこともあったのです。
自分の首が他人に狙われていることに慣れてきた桓騎はいつも自分の命を大切に思っていないように薄ら笑いをしていたのです。
誰がどう見ても桓騎は人間性や感情を捨てた獣ですが、実は彼がこのような人間になったのは下層にいる者たちを守るためです。
残酷な世界で下層にいる人間たちが生き残れる方法は一つしかありません。
それは恐怖で全ての敵を追い払うことです。
桓騎は若い頃からこの事実を知っていたので、大切な者たちのために、人間という物を捨てました。
☆飛信隊の李信と真逆な将軍
キングダムの主人公である李信が秦国の正義を代表する将軍であれば、桓騎は秦国の闇を代表する将軍です。
李信は熱血で、正義感が強い男である一方、桓騎は非常に冷酷で残忍、勝つためであれば手段を選ばない男です。
性格から物の見方、仕事への態度や戦略の選び方まで、李信や桓騎は何もかも正反対で、二人が同じ意見を持つことは永遠にありません。
李信自身は桓騎のことを王騎将軍や麃公将軍のように尊敬したかったのですが、何度も何度も桓騎の外道のような凶行を目にした後、李信は桓騎を尊敬することができなくなりました。
桓騎を尊敬するどころか、李信は桓騎のことがすごく嫌いで、桓騎を自分の手で討ち取ろうと思ったことは何度もありました。
桓騎は武功をあげまくっている李信に興味があったからこそ、李信を改造しようと思いましたが、あいにく二人の性格が正反対だったため、二人が会話するたびに必ず喧嘩をします。
李信は桓騎の強さを知っていますが、いつも他人を虐殺することにどうしても耐えられなかったのです。
出典:原泰久(著)キングダム第725話
☆心理戦の化け物
桓騎が嫌いな人間は山ほどいますが、彼を死ぬほど恨んでいるのはほとんど趙国の人間です。
趙の人間たちが桓騎を殺したいほどに恨み、憎んでいるのは仕方ないことです。
桓騎は投降した十万の趙兵を皆殺しにした上に、いままでの心理戦の中でも多くの趙国に関係する者たちをできるだけ虐殺しました。
桓騎が秦国の将軍として活躍して以来、他人を虐殺しなかったことは一度もありません。
誰が相手であろうと桓騎は必ずえげつない虐殺を行います。
桓騎の行為は間違っていますが、桓騎はいつも見事な勝利を手に入れます。
なぜなら桓騎は心理戦が得意で、敵の心をえぐるのが桓騎の狙いだからです。
桓騎は有名な策略家ではないのですが、彼は中華一心理戦が得意な化け物です。
遊ばれている味方の死体を見た時、誰も桓騎の手から逃れられません。
介子坊将軍でも、紀彗将軍でも、あの李牧でも、桓騎が用意した死体を見た時、心が深く動揺しました。
心理戦が得意だから桓騎は相手の弱点に刺さることができて、少人数で勝つことも可能にしました。
戦争に勝つことは重要ですが、死傷者を予想以上に出さない方がもっとも重要で、桓騎はいつも見事に仕事を完成させました。
☆野盗の憧れ
ほとんどの人間にとって桓騎は憎むべき男ですが、全野盗にとって桓騎は全員の憧れであると同時に最高のリーダーです。
戦乱の時代とは言え、何をしてもいいというわけではありません。
中華にはまだ国、法律や道徳があります。
悪事を何度も何度も犯し続けていれば、たとえ野盗でも朝廷は軍を派遣し、討伐しに行きます。
実際、野盗達を殲滅するために秦国は軍隊を出動させたことは何度もありました。
秦国附近に生活していた野盗達がもし桓騎という男に出会えていなかったら、既に軍に討伐されていたのでしょう。
桓騎に出会って、その子分になったから、野盗達は安定した生活ができる上に、これからも好きなように悪事を犯すことができます。
そして桓騎の子分になった最大のメリットは野盗達が桓騎と共に軍の一員になって、戦場で活躍することです。
戦場にいる限り、子分たちは野盗ではなく、立派な兵士です。
軍の一員として好きなように侵略できるから、野盗達は正々堂々と他人の財産、物資や女を強奪することができたのです。
桓騎の下で働ければどんな悪事をしても許される上に、桓騎が敗北したことが一度もないので、野盗達にとって正に最高の上司です。
実際、桓騎に出会ったからバカなオギコでも千人将になれて、暴力集団のゼノウ一家は食う問題に困らなかったです。
桓騎がいたから桓騎軍の皆は最高な生活を過ごせました。
☆桓騎の野望
キングダムの中に登場した将校達はほぼ全員それぞれの野望を抱いていますが、桓騎はその様な物を抱いていないようです。
王翦将軍も自分の野望のために一歩一歩確実に進んでいますが、桓騎が自分の野望のために努力している描写はありませんでした。
桓騎は野望を抱いていないように見えますが、もし本当に少しの野望もないなら、桓騎が野盗をやめて、戦場で活躍する必要はありません。
桓騎がこれまでの戦いに全部参戦したことから、桓騎は何かを成し遂げたいという意志を持っているはずです。
これまでの桓騎の行動から、桓騎の野望については一つの可能性が考えられます。
それは周りにいる下層人間のために居場所を作ることです。
桓騎は部下達と違って、強奪を楽しんでいる描写がなかったのです。
桓騎が女を抱いたことはありますが、部下達が財宝や美食を楽しんでいる時、桓騎はいつも黙って酒を飲みます。
このような不自然な行動から桓騎自身は財宝や美食などより、自分が楽しく居られる場所が欲しいだけだと考えられます。
桓騎は確かに兵士達を無駄死にするような将軍ですが、死んだ全員は下級兵士で、桓騎が大事な幹部を無駄死にしたことは一度もなかったのです。
そして桓騎の悪名が中華全土に伝わっているからこそ、野盗をバカにした者、もしくは野盗を討伐したい者はいなかったのです。
実際、桓騎の悪名が広がったから砂鬼一家を狙う敵はいなくなって、砂鬼一家の皆は安心して生活できました。
桓騎軍という物は桓騎が名声を手に入れるための軍隊ではなく、桓騎が周りにいる人間たちのために用意したシェルターです。
☆いつも薄ら笑いをする将軍
キングダムには非常に多くのキャラクターが登場しましたが、桓騎は明らかに他のキャラクターより多くの特徴が描かれていました。
どんな時でも、いかなる状況でも、いつも薄ら笑いをするのが桓騎の特徴の一つです。
桓騎は全てのことに対して大きな怒りを抱いていますが、桓騎自身の精神や感情は崩壊していないのです。
幾度の悲劇、もしくは非情な裏切りを受けた後、精神や感情が崩壊したような将軍はキングダムの中には何人かいました。
桓騎はその将軍達と違って、精神や感情は崩壊しなかったのですが、今の桓騎はどんな時でも薄ら笑いをすることになったのです。
圧倒的な兵力を持つ敵に包囲された時も、自分の首が斬り落とされそうになった時も、秦王嬴政の逆鱗に触れた時も、桓騎はいつも薄ら笑いをしていたのです。
いつも薄ら笑いをする桓騎を、周りにいる幹部達も手を焼いたのです。
桓騎は何が起きても必ず薄ら笑いをしますが、実は真顔を見せたことがあったのです。
バラバラに分解された幹部雷土の屍を触った時やゼノウ一家の者達が次々に倒れているのを目にした時、桓騎は真顔をしたのです。
桓騎は仲間を失った時にだけ真顔を見せたことから、これが桓騎の本当の感情である可能性は高いです。
場所や状況に関係なく、桓騎がいつも薄ら笑いをしていたのは自分の感情を隠すための手段で、仲間の死を目にした時だけ、桓騎は自分の感情をうまく隠すことができなかったのです。
実際、桓騎がいつも薄ら笑いをしていたから敵も、味方も、幹部も桓騎の真意を理解できず、桓騎を完全に理解することができなかったのです。
そのおかげで誰も桓騎の弱点を見つけられず、誰も桓騎の精神や感情に苦痛を与えることができませんでした。
今の桓騎は確かに誰もが討伐したい悪魔になりましたが、大切な仲間の死に反応があったことから、桓騎は桓騎軍の者たちを大切に思っていることがわかります。
李信のように熱くなることはもうできなくなったのですが、桓騎はどんな時でも自分の方法や手段で桓騎軍だけを守ろうとしています。
以上が今回の記事の内容でした、最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。