出典:原泰久(著)キングダム第754話
キングダムの中に登場する幽繆王は趙国を支配している若き君主です。
幽繆王こそが趙国の支配者ですが、彼の名前は中国に伝わっていません。
幽繆王が現趙王であることを、趙国の人間も知らない可能性は高いです。
若いから名前が知られていないのではなく、趙国の中には君主の名声をも超えている化け物がいるから、幽繆王は知られていなかったのです。
李牧は一人で国の全てを把握していますので、趙国の人間たちにとっても今は幽繆王ではなく、李牧が趙国を支配しています。
李牧はいい国を作れる素質はありますが、今の李牧は秦国との戦争にしか興味がないので、今も、これからも彼はずっと幽繆王の臣下です。
幽繆王は中華においてそれほど有名な人物ではないのですが、彼は李牧、司馬尚や青歌軍の命運を握っていますので、今回は幽繆王について考察してみたいと思います。
☆若き君主、幽繆王
中華において幽繆王を知る者はそれほどいません。
幽繆王が存在することを趙国の人間ですら知らない可能性はあります。
なぜなら幽繆王は国に影響を与えるほどの策を出さなかったからです。
良くも悪くも、幽繆王は大きな政策を出していないから、一般市民が彼を知る方法はありません。
幽繆王は明君ではないのは確かなことですが、実は彼らはそれほどの暗君でもありません。
幽繆王はただの道楽息子です。
幽繆王は遊びや女のことしか考えていないので、彼はこの二つのことにしか力を出しません。
国、政治や戦争のことに幽繆王は微塵も興味がないのですが、遊ぶためであれば、幽繆王は何でも目を瞑ってくれます。
李牧が秦国との戦争でいろいろな資源を使えたのはこのためです。
武将が一人で国の全てを掌握するのは信じられないことですが、幽繆王は遊びや女のために李牧の行動に全部目を瞑っていました。
そして李牧が勝てば勝つほど、誰もが李牧の名前を知り、幽繆王が存在することすら知りません。
武将が王様よりも有名なのは許されないことですが、これこそが幽繆王の狙いです。
指示を出さなくても李牧は自ら趙国の未来を背負いましたので、幽繆王は何も考えずに女といっぱい遊べます。
☆悼襄王との差
幽繆王は趙を導けるほどの明君ではなく、憎き暗君でもありません。
幽繆王はただの道楽息子、これが幽繆王と悼襄王の大きな差です。
悼襄王は幽繆王の父親で、趙国を悪い方向へ導いていた君主です。
遊びや女にしか興味がないのはすごく似ていますが、悼襄王と幽繆王の間に決定的な差があります。
幽繆王はただ遊んでいただけですが、悼襄王は趙国を滅ぼせるほどの策を出していました。
悼襄王は愚かな男で、とても大事な戦争が起きているのに、それでも彼は李牧を殺そうとしていました。
李牧は趙国を守ろうとしているのに、秦国は趙国を狙っているのに、悼襄王は何度も李牧に手を出しました。
そして悼襄王は趙と秦国の戦争にも邪魔していました。
愚かでわがままな悼襄王は趙国を滅ぼせるほどの策を出していました。
幽繆王は父に似ていて、遊びが大好きなのですが、彼は愚か者ではありません。
遊ぶために幽繆王は全ての権限を李牧に渡して、李牧の判断を疑わなかったのです。
司馬尚、青歌軍や国銃の兵力を握っていれば、李牧は反乱を起こせる力を持っていますが、それでも幽繆王は李牧を制限せず、全ての権限を彼に渡しました。
秦国の中華統一が完成すれば、幸せな生活が消えていくのを幽繆王は知っているから、李牧の行動に目を瞑っていました。
幽繆王はどんな時でも遊びや女のことしか考えていないので、この幸せな生活を維持するためであれば幽繆王はどんなことでもします。
出典:原泰久(著)キングダム第754話
☆趙国の真の支配者
李牧は戦争にしか力を入れず、戦争のことしか考えていないので、彼は時々重要なことを忘れてしまいます。
李牧は趙国の支配者ではなく、幽繆王こそが趙国の真の支配者です。
秦国との戦争で李牧は既に大量の資源や兵力を投入したのに、今は司馬尚や青歌軍をも戦争に入れています。
秦国の六大将軍の一人、桓騎を討伐するために、李牧は趙兵をたくさん消耗したのに、今は再び大量の人間を戦争に投入しました。
李牧は国を守りたいからいろいろな資源を勝手に使っていましたが、李牧が使えば使うほど趙国へのダメージは大きいです。
戦争は兵や武将たちのものですが、戦争が起きる度に国は金や食糧を無限に消耗します。
李牧は趙国のために多くの勝利を得ましたが、いつも大きな代償を払っています。
そして李牧が勝てば勝つほど、敵に狙われるネタを残します。
間者業界の化け物、姚賈は中華統一を目指している人間なので、彼が李牧を見逃すはずがありません。
☆特別な君主
幽繆王は道楽息子ですが、彼は悼襄王と違って頭がいいのです。
そして悼襄王と違って、幽繆王は遊びや女に集中していても、正しい行動を取っています。
キングダムにおいて幽繆王は登場回数が少ないキャラクターですが、それでも彼は正しい行動を二つ取りました。
一つ目は李牧に権限を与えたことです。
李牧は絶対に忠誠を誓わない人間であることを幽繆王は知っていますが、それでも李牧が必要なものを幽繆王は全部李牧に与えました。
李牧は秦国に因縁のある男で、彼は何があっても秦国から趙国を全力で守ります。
幽繆王は秦軍を倒せないのですが、必要なものが揃っていれば李牧は勝手に戦争を始めますので、幽繆王は何もしなくても趙国を守れます。
二つ目は李牧の名声に嫉妬しなかったことです。
秦国を何度も撃退した李牧は全中華において最も有名な武将になりましたが、幽繆王は少しも嫉妬しなかったです。
幽繆王は遊びや女のことにしか興味がないので、李牧の名声についてなんとも思わなかったです。
理由は最低ですが、これは正しいのです。
もし幽繆王が李牧の名声に嫉妬、もしくは李牧のことを警戒し始めていれば、幽繆王は悼襄王と同じ道を歩みます。
幽繆王は李牧の勝利に興味がないから、李牧はうまく趙国を守っています。
☆大臣との関係
幽繆王は趙国を支配している君主ですが、彼と大臣たちの関係はそれほどよくないのです。
本来、幽繆王が道楽息子であればあるほど、郭開は重要な大臣として近づきやすいのですが、幽繆王は頭がいい少年です。
幽繆王は国に影響するほどの政策を出していませんが、彼は趙国の現状をよく見ています。
幽繆王は趙国の状況をよく見ているから、郭開の接近は意味がなかったのです。
キングダムにおいて幽繆王は登場回数が少ないキャラクターですが、彼の判断は間違いないのです。
幽繆王は李牧に全ての権限を与えていますが、幽繆王は李牧に近づかなかったです。
幽繆王は郭開といろいろ話し合っていますが、幽繆王が郭開のために李牧に手を出すことはなかったです。
趙国の政治において幽繆王はいつも中立で、どちらの味方にもならなかったです。
幽繆王の判断はおかしいと思われますが、これが幽繆王の恐ろしいところです。
李牧が生きている限り、彼は反乱を起こせるほどの力を持っていますが、郭開は殺されたくないので、いつも李牧の力を削ろうとしています。
郭開が生きている限り、李牧は戦場でうまく発揮できないのですが、幽繆王は必要なものを与えているから、李牧は勝手に秦国から趙国を守ります。
生きるために、国のために、郭開や李牧はお互いのことを勝手に牽制し合っています。
そしてあの二人の関係が悪ければ悪いほど、幽繆王は何もしなくても、楽々と国を支配できます。
以上が今回の記事の内容でした、最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。